広島とカープのエピソード満載『赤ヘル1975』

2016年12月5日本の紹介

重松清さんの小説『赤ヘル1975』。

広島カープが25年ぶりにリーグ優勝を飾ってから、ずっと読もう読もうと思っていて、先日手に取ったところ、、、、。

この長編を1日で一気に読んでしまいました。

物語の展開に手に汗握り、用事もあるのに、読みとどめたい気持ちを抑えきれず。
ページをめくらせる力のある小説でした。

戦後30年を経た広島の街、市民の精神的支柱ともいえる広島カープ。
広島でカープの初優勝を知る世代には大きな共感と戦争の痛みと読み進めたい町内の人々の人情が、たまらなく胸を締め付けられました。

物語の中心人物である3人の中学生男子が被る赤いカープ帽には、彼らと同世代(初優勝の時に中学生だった男子はとくに!)の人たちは、かつての自分を重ねた人も多いのでは。

初めて知ったカープのエピソードもたくさんありました。

たとえば、「広島の山本」といえば、「浩二」ですが、この小説に出てくる当時の熱狂的なカープファンに言わせると「一義」。(今年、ご逝去されました。合掌)

広島出身の山本一義選手は南海ホエールスに入団が内定していた時(当然、カープにもスカウトされていた)、後に首相になる池田勇人氏(カープ後援会長)から「故郷を捨てるな」と説得され、両親に相談するため広島駅に到着すると、あふれんばかりの入団を期待するファンが集まっていた光景に感動し、カープ入りを決断されたそう。

メジャーリーグで活躍していたにもかかわらず、古巣の広島カープに帰ってきたあの選手に姿が重なりますね。
そう、今季で引退を表明した黒田選手。

話を小説に戻しましょう。

この『赤ヘル1975』の最後の舞台は、カープが毎年キャンプする、宮崎の天福球場。
選手の練習風景を目の当たりにした主人公の少年が友を思う心がジーンと胸の奥深くに穴を掘られるように、深く染み入ります。

また、カープを描くかたわらには原爆投下された「ヒロシマ」に生きるの被爆者やその家族の姿も克明に、それは心がピンで留め付けられたように痛みを感じる描写もあります。

原爆投下されたヒロシマ、そして広島カープの歴史を知りたい方はぜひ。

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