介護する側のレスパイトケア『介護起業』を読んで

2015年12月19日本の紹介

介護の仕事はメンタル面だけでなく、体力も必要。
杢野暉尚さんのご著書『介護起業』については先日もご紹介しました。

本書には「スタッフの心のケアを制する」ことについて、ふれられています。
レスパイトケアは介護する家族をはじめ、介護職を仕事にしている人にも必要なことだと思います。

介護や看護の仕事についている人にはおなじみの「レスパイト」ですが、ご存じない方のために。
レスパイト(respite)とは「一時的中断」「休息」「息抜き」という意味です。

レスパイトケアは要介護者を在宅でケアしている家族に生じる心身の疲労を軽減するため、一時的にケアの代替を行うサービスのこと。
デイサービスやショートステイなどもレスパイトサービスの1つ。

「老々介護」が珍しくない最近では、体力の面から高齢の介護者に負担がかかることが多いです。
こんな時に介護する側が利用できるレスパイトはありがたいサービスですよね。

この記事で要因を分析しましたが、介護業界は離職率が高いことで知られています。
そしてその仕事を辞めた理由は「職場の人間関係に問題があった」ことがトップ。
本にはスタッフのメンタル面の管理や職場の声をきくカウンセリング実施の必要性についてふれられています。

■介護スタッフにもレスパイトケアを

さて、「在宅要介護者のお世話をする家族を支援するためのもの」という意味あいの強いレスパイトケアですが、介護スタッフにもこのケアは必要なのでは?と思います。

なぜなら家族だけでなく、介護スタッフもサービス利用者に常々接し、負担の大きな介助を業務としているから。

介護の仕事は「人とのふれあい」がベースにあるので、介護スタッフは事務的に業務を進められないことが多い。
そして調子がよくない時でも、いつも通りにがんばろうとする人が多いような。

しかし、そんな時は気合で仕事をしても、結局いつものようには進まない。
そんなこんなで「やっぱり、私はダメなんだ」と気分が落ちこんでしまうことも。
残念ながら日本は相互監視社会で、横並びを好み、出すぎている杭は打ち(て)ませんが、少し出た杭なら打ってくる人が多い。

ひー(´・ω・`)

また、「嫌われたくない」から自分が苦手なコトや人についつい付き合ってしまう人もいる。
問題提起したら職場の風通しは悪くなるし。休みをとるべきと感じていても、自分の立場や周囲の目を気にして、休みはとりづらいし、とったら何を言われるか・・・と、職場や自分の問題をそのままにしてしまう人も少なくありません。

そのようなツラさを抱えつつもがんばってしまう。。。そんなことも前述した離職理由のトップである「職場の人間関係に問題があった」という結果に導いている要因の1つになっているのでしょう。

これはもはや、介護業界に限った話ではありませんけどね。

となると、最初から職場に心身を休息させるためのレスパイトケア制度をつくる、というのはいかがでしょう?
職場でレスパイトケアを義務づけられていたら、心身の羽を休めたい人は休養をとって引け目を感じることもない。そして レスパイトケアを利用する側は「休養期間」を忘れず、なによりも自分の回復を優先して。

ってことが出来ると、より働きやすい職場になるのではないでしょうか。

もうすでにレスパイトケアという名称じゃなくても、リフレッシュ休暇を取り入れている施設もあるかと思います。

ただいま休養期間中の方は、この期間は癒されるもの、笑わせてくれるものをとことん追求しましょう。
心身を回復するためにも、日々の安息を心がけてくださいね。