高齢者とミュージシャンが暮らす「ロック老人ホーム」はアリかも

本の紹介

日本が高齢社会になっていくのに比例し、ロックバンドやミュージシャンも高齢化していく。
これはもう紛れも無い事実というか、自然のなりゆきでございます。

高齢者といわれる世代になっても、好きな音楽ジャンルがロック→演歌とガラッと変わることはない。
もし、好きなロックバンドもしくはミュージシャンと共同生活をおくれる「老人ホーム」的コミューンができたら、入居したいという人は多いかも。

筋肉少女帯のボーカリストにして作家である大槻ケンヂ氏の著作『オーケンの、このエッセイは手書きです』の「ロック老人ホーム・オーケンハウス設立! 徳川埋蔵金で佐賀あたりに土地を買え!」を読み、将来はそれってありえるかも~と、思った次第。

筋肉少女帯のかたわら、FOK(フォークオーケン)という弾き語りのソロ・プロジェクトのライブをされる大槻さんは、あるとき「将来、身寄りのないミュージシャンや1人暮らしのお客さんで皆で暮らす老人ホームを設立したい!」という内容のMCをされたそう。すると、お客さんはもとより、知り合いから入居希望の声が相次いだそうデス。

もちろん、これは大槻さんが本気で計画している話ではなく、ライブのMCで喋った思いつき。
しかし、これを真に受けて、われもわれもと入居したいとは、やはり高齢化と高齢社会を意識しているのだな、みなさん。

音楽を創りだす人と一緒に暮らす。若いころはそのビジュアルや音楽性に惹かれ神聖化してしまい「遠いあの人」だったけれど、年を重ねるとお互いヨイヨイになって、垣根もなくなる。

そして若いころによく聴いた音楽は昔の思い出を引き出し、人生に喜びを取り戻すことにつながる、といわれます。上の写真はそんなテーマを扱った映画『パーソナルソング』のジャケット。
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先日、渋谷クラブ・クアトロへ某ロックミュージシャンのライブに久しぶりに行ってきましたが、当然スタンディングと思いきや、なんと会場にはイスがズラリ。

ウィッグつけて、目のまわりとくちびるを厚く塗って、ハデ目の服をまとい、スタンディングで「ワ~!」のつもりで嬉々として出かけたけれど、イスとすべてのイスを埋めているお客様を見て、あれれ?とちょっとズッコケてしまった。

そのミュージシャンのライブは久しぶりだったけど、かつてはスタンディングが当たり前だったような。。。(ああ、過ぎ去りし歲月よ!)

しかし、会場の年齢層(着席されている方の)をじっくり観察したところは40代、50代と思しき女性が一番多く占めていたような。
そしてお化粧室に入ると、着席客のお姉さま方の会話を偶然、耳にしてしまった。
「立って見てたら腰つらいよねー。今日はイスを出してもらえてよかった!」

そのアーティスト様。オーディエンスへの配慮がおありで、自分のファン層をよく理解されているのだな、素敵だな!と思ってしまった。

ところで、大槻ケンヂ氏は「ロック老人ホーム」計画について、こう書いておられる。

ロックバンドやミュージシャンって、老後コミューンのシンボル・神輿みたいな役割として、今後うまいこと機能し始めるのかもしれない。

(中略)

アーティスト側もオーディエンスサイドも、同じ音楽、作品、人物を支持して、支え合って生きてきた、という想いは生の証、自己存在の肯定として老後、心身にとてもいいことであるし、アーティストの作品、ライブ、物販の製作、販売などをコミューン全体で行い、外に向けて発信することでホームの経営をまかなうかもわからない。

大槻さん、MCやエッセイのネタでなく、これはリアルに「企画書」として提出できるのでは?
同意する人、一緒に暮らしたい!と願うファン、あるいは事業として手がけたいと考える人はいると思いますよ。

音楽配信産業が登場したことで、CDが売れなくなった音楽業界はプレイヤーも含め、さまざまなビジネスモデルを構築、あるいは見直していった。その点では一番イノベーティヴな業界だと思う。高齢者施設の運営・経営もありなんじゃない?と思うのだ。

将来、このロックミュージシャンとの共同生活をしながら老後を過ごすという着想は現実になったりしてね!?
いや、マジで。

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