認知症おうちカフェ キラリ会2 「同じ釜の飯を食う」オナカマ効果

2020年4月2日ライフスタイル, 世田谷の介護

前回の続きです。

「認知症おうちカフェ キラリ会」(世田谷区)は毎月第3土曜日、会費500円+お料理1品持ち寄り制(お料理なしの人は500円のカンパ)で行われます。

レビー小体型認知症のお話が終わり、背後を見ると・・・ダイニングテーブルには色あざやかなお料理が所狭しとズラリ!

圧巻~\(◎o◎)/!

なるほど。取材前に金子さんが「室内ハイキングのつもりで」と仰った意味がようやくわかりました。

このお料理は参加者の持ち寄り&金子さんの手によるもの。

講演からスムーズに食事の部にうつれるのは、タイミングよく皆さんの料理をお皿に盛りつけ、セッティングされた、藤野希代美さんのきめ細やかなお心遣いがあってのこと。

この日、テーブルに並んだ見目麗しいメニューは

十六穀ごはん、かぼちゃサラダ、チャプチェ、じゃがいもの柚子みそ和え、フレッシュトマト、白菜の炊いたもの、大根と昆布の煮もの、五穀クラッカーに具だくさんの野菜スープ、ごぼう入りチョコレートケーキ、そしてイチゴにオレンジ!

すべてベジタリアン(ビーガン)メニューです。

肉女(ニクージョ)の私ですが、動物性たんぱく質ナシでもOKなボリュームと美味しさに驚き、意外と自分ってビーガンでもイケるかも!?と感じるほど。(上の写真)

さて、テーブルを囲み、食事をいただいていると自然に近くの席の方とも話が弾みます。

足こぎ車イスにも試乗された、80代の女性は今日が初めての参加。

「いつまでも楽しく、元気にいたいから、こうした集まりにも参加してみたいと思って来たのよ」

そう仰い、料理を美味しい美味しいと召し上がる姿が微笑ましい。

にわかビーガンと化し、ヘルシーなランチを食べ進む私に「どうして、この認知症カフェを取材先に選んだの?」と、逆取材も。

「認知症カフェの取材は初めてで。初回は個人の方がされているところが溶け込みやすいかもと、考えていたのです。そしたら偶然、こちらのfacebookを拝見して。楽しそうだし、開催される日程も合いそうだし・・・けれど、直感によるところが大きいです」と答える。

「この100円玉を手のひらに乗せて、左手の親指と人指し指で輪を作ってみて」と、硬貨を私の右手にのせてくださったのは空間エネルギー研究家の男性。

それは、100円玉のウラとオモテにそれぞれ気(空間のチカラ)を入れて行うOリングテスト。

Oリングテストとは、指の力の入り具合で、自分に合っているものどうかを確認する方法。
この日、硬貨の表だと輪はちゃんと閉じるのに、反対側だとどんなに力を入れても輪がパカッと簡単に開いてしまう・・・( ゚д゚ )。そんな不思議な体験も。

image認知症カフェ3_R

お台所で洗いものをご一緒したのは、以前、世田谷区議会議員を務められ、放射能やエネルギー対策、地域包括ケアにも取り組んでこられた方。

「あんすこって知ってます?」と聞かれ、アンコを使ったビスコッティ?と一瞬、新種のスイーツを想像したけれど、話の文脈からいって、それは違うし^^;

「あんすこ」とは「あんしんすこやかセンター」の略で、介護保険法に基づく「地域包括支援センター」のこと。つまり、高齢の方がお住まいの地域でその人らしく暮らせるように、さまざまな支援を行うための相談窓口です。

たとえば、介護の仕方がわからないからおしえてほしい、近所で認知症ケアについて相談できる人はいないだろうか?そんなことを相談できる場が「あんすこ」なのです。

地域包括支援センターは、世田谷区では「あんしんすこやかセンター」とよばれていますが、地域によって名称はさまざま。たとえば、千葉市では「あんしんケアセンター」、佐賀市では「おたっしゃ本舗」など。

なお、世田谷区では高齢の方に関する相談だけでなく、障害のある方や子育て中の方からの相談も受け付ける、あんすこも。砧地区を皮切りに、池尻、松沢、用賀、上北沢で実施されていて、今年度からさらに増える予定です。

「世田谷区に暮らす人たちが『あんすこに相談に行ってみたら?』と、普段の会話に出てくるほど、浸透していくとよいですよね」というお話に共感。

こんなふうに、ずっと暮らしている地域のことなのに、知らずにいた情報が得られるのも、テーブルを皆で囲み、ごはんを食べる時間が設けられているからこそ。

帰り際、金子さんより万能酵母、納豆菌をそれぞれ培養した飲みものを試飲させていただきました。
昨年12月の認知症カフェのゲストに招いた専門家からおそわり、作られたそう。

最近、ソマチッド米のとぎ汁を使った乳酸菌を作っている最中だったので、シンパシィを感じた万能酵母はわりと想像に近い味わい。
そして納豆菌。
見た目は透明の液体だけど「ザ・納豆」な味だったらどーしよう、、、と、おそるおそる口をつけてみたけれど、意外にもフツーのお水の味でした。(ほっ)

認知症のご本人も、家族や友人、地域の人、認知症カフェがどんなものか興味があってのぞきに来た人も、食事をしながら自然に交流できるのが、金子さん主催の認知症おうちカフェ。

会の常連さんでもある、認知症の70代の男性がポツリと仰った言葉は、水面に石を投げた時に広がる輪のように心に広がった。

「帰りたくない時がある」

夢中になって遊んでいた子ども時分、もっと遊んでいたいのに・・・「夕ごはんよ!」と呼ぶ母親の声とオレンジ色に染まった空が一瞬よみがえった。

きっと、この方も主催者の金子さんをはじめとする、集まった方たちの体温のようなぬくもりがうつしだされている居心地のよい空間にずっと浸っていたいのだと思う。

コミュニケーションが食事をおいしく、楽しくさせる「共食」もまた「認知症おうちカフェ キラリ会」の魅力に感じたのでした。
の飯を食う「オナカマ」効果って、想像以上に大きい。

認知症カフェってどんな感じ?と、少しでも興味のある方はぜひ参加されてはいかがでしょう。

次回の「認知症おうちカフェ キラリ会」は3月19日(土)に開催されるそうです。
詳細はこちらのfacebookをご覧ください。

キラリさんこと、金子節子さん。意義深く、楽しい時間を過ごさせていただき、ありがとうございました!\(^o^)/

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