秋から冬にかけて見たい映画『オータム・イン・ニューヨーク』

2016年2月21日映画の紹介

少し肌寒く感じることもある、この季節に観たくなるのが『オータム・イン・ニューヨーク』。
リチャード・ギアとウィノナ・ライダーが年の差カップルを演じるこの作品は、ニューヨークが舞台となり、とくにセントラルパークの美しさが際立っています。

セントラルパークがロケーションに使われている作品はたくさんありますが、風景が美しく、ロマンティックに映しだされ「いつか、この場所へ行きたい!」と思わせる点では、個人的にこの『オータム・イン・ニューヨーク』がダントツ。

ストーリーは、女性と刹那的な関係を続けるセレブなレストランオーナー(リチャード・ギアのいかにもハマり役!)とウィノナ演じる難病に罹り死を待つ若い女性のせつない恋愛を描いたもの。
しかも、リチャード・ギア演じるプレイボーイはかつてウィノナの母と・・・。

という、ワケありの背景。
それを知るウィノナの祖母はこの恋愛を反対するけれど、「はい、わかりました」なんて若きヒロインが聞きいれるわけがなく、あれやこれやの末、結ばれるというラブストーリーの王道。

■映画に欠かせない「心理的リアクタンス」

反対されるほど一途になり、恋の深みへとはまっていく。
それってロミオとジュリエット~。

困難な恋によく言われるたとえですが、この心理を探ってみましょう。

それは「心理的リアクタンス」とよばれるもので、

ヒトは自由を奪われるほど、自由に執着し、回復をこころみる

という心理をもっています。
(心理学者ジャック・ブレーム提唱)

「ダメ」と禁じられたら、禁止されたものに対して興味が湧き、「ダメ」と言った人に反発したくなってしまうというワケです。

この作品のなかで、ヒロインの祖母は「あなたの母親を苦しめた男は、今度はあなたを・・・。あの男だけは絶対ダメ」ということを言われ、交際を猛反対します。

しかし「あの男を好きになってはいけない」という状況こそが、恋の炎に「油注入」となってしまい、さらにメラメラと燃えたぎらせてしまう。。。
それが『心理的リアクタンス』を高める行為。

周りからの反対を受ければ受けるほど、相手への想いが炎のように燃え盛ってしまうわけですね。

心理的リアクタンスの観点でこの作品を観ると、反対されながらも恋愛に陥る男女の様子を俯瞰した目で観察できるでしょう。

けれど、なんといってもこの作品で感じてほしいのはやはり、ニューヨークのうっとりするほど美しい秋の景色。
ストーリーはさておき、ひたすら、ロマンティックに映し出された風景を楽しみたいものです。
そして『シザー・ハンズ』や『ドラキュラ』からグッと成熟した女優ウィノナ・ライダーの美しさにホレボレするはず。