介護サービスを受けるための地方移住とCCRCの整備

2015年10月30日ニュースと考察

2015年6月、日本創生会議が2025年に必要な介護サービスを受けられない人が東京圏(1都3県)で13万人以上という推定結果を発表したのは記憶に新しいところです。

これは東京圏の高齢化がすすむと、介護サービスを受けられる施設が不足事態になってしまうことから、将来を見すえて地方に移り住むことも視野に入れてください、ということです。

その日本創生会議の発表を受けて、読売新聞は介護に関する調査を行いました。

読売新聞社は、介護に関する全国世論調査(郵送方式)を実施した。
将来、自分が希望する介護サービスを受けられないのではないかと不安を「感じている」人は、「大いに」と「多少は」を合わせて86%に達した。

「大いに感じている」人だけで46%に上り、国民が介護について強い不安を抱いていることがわかった。

 民間の有識者会議「日本創成会議」は6月、2025年に必要な介護サービスを受けられない人が東京と埼玉、千葉、神奈川の東京圏で13万人に上るとの試算を発表し、地方都市への移住を提言している。

 調査では、大都市部の高齢者が介護サービスを受けやすい地方都市へ移住することに「賛成」が61%で、「反対」の36%を上回った。
「賛成」は男性で65%、女性では57%だった。

 ただ、自分自身が希望する介護サービスを受けられそうにない場合、ほかの地域に「移住してもよい」と思う人は42%で、「そうは思わ
ない」の57%を下回った。

地域別にみると、関東では「移住してもよい」の48%と「そうは思わない」の50%が拮抗(きっこう)したが、その他の地域は「そうは思わない」が6割前後で多数だった。

(読売新聞10月15日(木)0時14分配信より抜粋)

意外にも介護サービスを受けるための地方都市への移住することに賛成という人はは半数を上回りました。
もしかしたら、そのなかには故郷へ帰ることを視野に入れている人も含まれているかもしれません。

この調査結果をふまえ、介護サービスを受けやすいとされる地方都市の自治体は創生(まちおこし)によりいっそう注力することになるでしょう。
ちなみに、日本創生会議が発表した地方の移住候補地は過疎地域ではなく、それなりに大きな街。
函館、青森、富山、福井、岡山、松山、北九州など、文化面も充実していて、一定以上の生活機能を満たした都市部が中心です。

最近は高齢者の地方移住の話題によく「CCRC」という言葉が登場します。
CCRCとはContinuing Care Retirement Community(継続介護付きリタイアメント・コミュニティ)。
アメリカで発達しているCCRCですが、簡単にいえば第二の人生を楽しむための高齢者居住コミュニティのことです。

日本政府としては、CCRCをモデルとした地方にバリアフリーを備えた高齢者向け住宅をつくり、身体が健康なうちに地方に移り住んでもらうのも目的の1つ。

先日は、群馬県前橋市がこのCCRCの構想に名乗りを上げました。
平成30年に新築移転を予定されている前橋赤十字病院の跡地を「前橋版CCRC」の拠点にする計画があり、今年度中に策定する地方版総合戦略に盛り込む方針だといいます。

前橋市を皮切りに、これから多くの地方都市がCCRCをモデルとし、高齢者居住コミュニティをととのえていくことになるでしょう。
日本版CCRCの整備は当分、目を離せない事業になりそうです。

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