介護休業の取得条件緩和。休業中の給付金引き上げも

2016年6月20日ニュースと考察

厚生労働省は介護休業の取得に必要な判定基準を2017年1月から緩和する方針を決めました。
取得条件は「要介護度2~3」ですが、「要介護度1~2」に。
また、8月から休業中に受け取れる給付金を賃金の40%から67%に引き上げられるそうです。

事業所には「介護休業制度」がありますが、制度利用者は約1万人(2014年度)というのが実情。
そして、介護で離職する人は増加しており、年間10万人ともいわれています。

介護休職制度を利用する人の約10倍の人が職場を離れている…。

その背景には日本人が「有給休暇取得や有休消化に罪悪感」を感じていることもあげられると思います。

エクスペディアの「有給休暇国際比較調査2015」によると、世界26カ国の18歳以上の9273人を対象にオンライン上で実施したところ(2015年10月)、日本の有休消化率は、韓国の40%に次いで世界ワースト2位の60%でした。

有給休暇を取得する人は「罪悪感」、有休を消化する人には「白い目」。
支給日数も正確に把握していない人も多いのでは。

日本の相互監視社会が「有給休暇」にたいして罪悪感をもたらせているのかも(T_T)

(前略)
介護休業は家族が「常時介護を必要とする状態」で取得でき、排せつや食事、日常の意思決定、徘徊(はいかい)の有無など12項目の基準で判定される。現在は特別養護老人ホームへの入所条件が目安で、要介護度では2~3相当になる。

新しい基準では、要介護度2以上なら無条件で、それ以外でも2週間以上にわたり全面的介助が必要な項目が一つか、一部介助が必要な項目が二つあれば、制度を利用できる。要介護度1の認定を受けているのは約117万人、要介護度2は約106万人。要介護度1の人が全て新基準に当てはまるわけではないが、対象は大きく広がる。

常時介護が必要な状態かどうかは最終的に雇用主が判断するため、厚労省は今後、企業側に新基準の周知を徹底する。【阿部亮介】

毎日新聞 6月17日(金)21時5分配信分より引用

制度がととのっても利用しなければ意味がありません。

これまで「要介護1」だからと、休業制度を申請しにくかった方もいらっしゃるのではと思います。
今回の見直しでは「同居し、かつ扶養していること」という条件を廃止するそうです。

そうすることで、政府は2025年度末までの「介護離職ゼロ」につなげたい考え。
もしかしたら、要介護認定の前段階である「要支援」についても、将来は介護休業ついて何らかの見直しがあるかもしれませんね。

この介護休業制度も「有給休暇」となりますが、相互監視社会の日本とはいえ、何らかの事情で「困っている人」には手を差し伸べ、ケアしてあげたいと考える人も多いのも事実。「介護のため」という理由があると、普段、有給消化にいい顔をしない人でも制度利用をすすめることが想像できます。

このたび見直された介護休職制度が意外にも、日本人独特の「有休消化の罪悪感」を払拭する布石になったりして!?

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