電動手すりで急坂の階段歩行をラクに。坂の街、長崎にて

ニュースと考察

市街地の約7割が斜面という長崎市。
昨年、放送されたNHKBS プレミアムドラマ『だから荒野』は長崎が舞台でした。鈴木京香演じる主人公が暮らす家は市街地の坂の途中にあったし、たびたび坂道を往来するシーンも。

しかし、傾斜地となっているおかげで、臨む長崎港や夜景の美しさには時間を忘れるほど、目を奪われます。ドラマでも心ときめく美しい景観がたくさん登場しました。

さて、 長崎に限らず、傾斜地にある路上の階段の上り下りってけっこう大変(・∀・)
とくに高齢者は体に負担がかかりやすく、行き来だけで疲れてしまうことも。そんな傾斜地や急坂の階段を日常で利用する高齢者の歩行をサポートする「電動手すり」が長崎に登場しました。

 坂の街・長崎で、路上の階段の上り下りを助ける「電動手すり」がお目見えした。産学連携事業の実証実験だったが、近隣の高齢者からは「積極的に外出したくなった」と好評価。長崎市は二〇一六年度、現在の全長約十三メートルから、二倍超に延長させる方針だ。

 電動手すりがあるのは、長崎市十人町にある高さ約七メートル、傾斜角約二一度の石段。既存のガードレール状の手すりに沿って、コの字を下に向けたような形のパイプが動く仕組み。パイプをつかむと、分速三・八メートルで動きだし、手を離せば止まる。買い物袋などを引っ掛けて運ぶこともできる。

 近くに住む村木寿実恵さん(61)は「足腰が弱り、平地に引っ越した高齢者も多い。電動手すりが広がれば、住み慣れたところに長く暮らせるようになる」と期待する。

 長崎大と同市の移送機器メーカー「信栄工業」が一四年夏から共同開発に取り組み、昨年七月から実験を始めた

 東京新聞2016年3月5日 夕刊より

実証実験中のこの電動手すりは「Saruku(サルク)」といい、長崎市の移送機器製造会社である信栄工業と長崎大学産学官連携戦略本部の北島栄二准教授によって共同開発されたもの。

サルクとは、長崎の言葉で「街をぶらぶら歩く」という意味。

急坂に備え付けられた電動手すりは、歩行をアシストするだけでなく、荷物をひっかけられることもでき、大変便利。
坂道のせいで外出がおっくうになっている人でも出かけやすくなるはず。
長崎同様、傾斜地に観光スポットと民家が点在する尾道にもぜひ取り付けていただきたいものです。

この「Saruku」は、今年度中の商品化を目指し、斜面や坂の多い自治体に向けて販売する予定だそう。
そのため、今回の実証実験で機能と安全性の精度を高めるそうです。

設置する場合、費用は1機当たり約300万円。道路脇に直接取り付けることができる場合はレールの費用が抑えられるので、約3分の1の価格になるそうです。

傾斜地の路上の他、石段が続く神社仏閣でも役に立ちそうですね。

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