アメリカ育ち。甘味で誘惑狙い撃ちのフルーツたち

2016年4月4日食べもの

豊水梨や桃、リンゴ、すももなど、秋の実りが軒先に並ぶ八百屋さんで見つけた山形産の「スチューベン」という種類のブドウ。
巨峰やデラウェア、甲斐路、マスカットなどが一般的なだけに、スチューベンとは初めて聞く名前。珍しさも手伝い、さっそく求めてみたわけでして。

そして一口いただくと、その糖度の高さにびっくり\(◎o◎)/!
甘味で誘惑狙い撃ち!

甘いものって少量でも口に含むと幸せになりますね。巨峰などの黒ぶどう種の甘さを想定していたものの、デラウェアとほぼ同じぐらいの甘味でした。
香りはそれほど強くはないものの、とくに皮と果肉の間が甘みが強く、皮の水分をすべて吸い込むように、しごいて食べると「味わった!」という気分に。

狙いは他にもあります(^o^)
ぶどうの皮と果実の間にはポリフェノールが多く含まれていますよね。
ポリフェノールには悪玉コレステロールの発生を防ぎ、血液をサラサラにする働きがあるといわれているし。
そして抗酸化作用がはたらくことで、お肌の老化防止効果も。
これは皮ごと食べなきゃソン!とばかりに食べ進めたわけです。

気になったので、スチューベンについて。
この品種はアメリカ・ニューヨークの農業試験場で育成されたもので、「ウェイン」に「シュリンダン」という品種を交配させてつくられました。

日本に入ってきたのは1952年のこと。
寒冷な気候に適したスチューベンは、育成されたニューヨークと同じくらいの緯度に位置する青森県をはじめ、東北地方で栽培されることに。

このスチューベンの特徴は非常に糖度が高いことと日持ちのよい点にあります。
その糖度の高さは20度以上になることもあり、酸味が少ない濃厚な甘さ。
完熟した状態で収穫したスチューベンは2ヶ月ぐらい冷蔵できることもあり、年末から冬にかけて、美味しく食べられるそう。

ぶどうはエビカズラといわれ日本では古くから聖なるものとして崇めてきました。こんなエピソードもあります。

■帰国子女のケルシープラム

写真は渋谷の西村フルーツさんで見つけたケルシープラム。
「これがプラム!?」と二度見してしまうほど、プラムらしくないのです。

プラムといえば、濃い赤色や黄色ですが、このケルシーは緑色。
しかも、片手で持つとプラムらしくないずっしり感。
手にひらにのるのは、せいぜい1つだけという大玉。
大きなものは250gにもなるとか!

実はこの緑色のプラムはもともと日本で作られていたもの。
古くから日本で作られていた「甲州大巴旦杏(こうしゅうだいはたんきょう)」というスモモの一種でしたが、栽培地だった甲州地方の栽培農家が減ったこともあり、明治時代にジョン・ケルシー氏がアメリカ・カリフォルニアに持ち帰りました。

この甲州巴旦杏がアメリカの試験場で品種改良され、「ケルシー・ジャパン」と名前を変え、日本に逆輸入されはじめたのは大正時代。日本で生まれ育った無名の女の子がアメリカのきらびやかなショービジネスの世界でもまれ、磨かれ、満を持して華々しく日本に降り立ちました、といわんばかりの名前です。

ケルシー・ジャパンとなって帰国子女となったこのプラムが日本で栽培されたのはもともとの産地、山梨県で。
以来、ずっと山梨県で育てられています。

気になるお味ですが、ケルシーは皮ごと食べられ、追熟させると酸味がほどよく消え、甘味が増し、酸味が少なく甘味が強くなります。
※ただし、収穫量が少なく、出回る時期は短期間。見つけたら、すぐにお求めになることをオススメします。

たくさんのフルーツが出回る秋なので、それぞれの味覚を堪能してみてください。

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